シーズ独自の取組み

シーズでは発達教育をテーマに「教育」と「福祉」の側面から、様々な取り組みをしています。

「母子ユニット方式」による独自の発達障害支援

シーズでは自身の経験と学識に基づく思考から、独自の発達障害支援活動を行っています。
以下に示す概念図と説明をご参照ください。

「母子ユニット方式」の概念

シーズが提唱している母子ユニット方式による独自の発達障害支援の考え方についてお伝えします。

【母親と子供の関係】
母親と子ども(障害児)との関係は、母親が「これは自分の子どもである」として、子どもの存 在を認知するという行為によってつながっています。図に見るように、母子関係が良好であるときに は「認知する行為」の矢印は、太くしっかりと母親から子どもへと働きかけるが、何らかの理由に より母子関係が疲弊してくると、この矢印は細くなり、その勢いを失っていくことになります。
母親が子どもを認知することは、発達障害というリスクを含めて認知することを意味します。こ こでは、それを「受容」と呼んでいます。
これまでの研究で、「母親のメンタリティ」の消耗は「母子関係の疲弊」を招き、「認知する行為」を 弱体化させることが明らかになってきました。逆に考えれば、子どもが発達障害で、リスク因子を抱え ていても、「母親のメンタリティ」がしっかりと機能していれば、子どもを認知しつづけることが 可能であるといえるわけです。したがって、母親が発達障害を持つ子どもを心から受容するためには、「母 親のメンタリティ」を強化するサポートが大事になってくるのです。

【父親のサポートの位置づけ】
一般に、子どもと母親をサポートする役割を担うのは、子どもの父親です。 そこで発達障害児 を持つ家庭の場合、「父親のサポート」には、どのような位置づけがあたえられるのでしょうか。
「父親 のサポート」は、図の下側に示したように、母子の双方に働きかけるものであるが、子どもに向け て厚く作用していくのが望ましいです。 それは発達障害児の親子関係においては、両親が力を合わせて、障害 のリスク要因を抱える子どもをサポートすることが必要だからです。 「父親のサポート」が母子 関係をしっかりと支えている場合は、発達障害児の家族は安定しています。しかし、何らかの理由に より家庭内で父親不在の状態が生まれたり、父親の仕事が忙しくなり時間をさけなくなったりして、 子どものリスク要因が大きくなり、サポートしきれなくなったりすると、「父親のサポート」の機能が低下してきます。 こうした場合、 母子関係を安定させるためには、「父親 のサポート」を補完するものとして、家族外にサポートを求める必要が生じてきます。

【「母子ユニット」を対象とする「シーズ」の支援】
このように母子が家族の外に支援を求める状態が生まれると、「シーズ」のような外部支援組織 が関わることになります。
図の上側に示したように、「シーズ」は、「母子ユニット」での支援モデルを 提供しています。その特徴は、母子をユニットとして捉えて支援することにより、母子関係の疲弊を 未然に防いでいく点にあります。 母親に向けては、 メンタリティの安定を強化し、「障害受容」のゆれ を小さくする支援を行い、同時に、子どもに向けては、療育としての支援を行い、障害によるリスク要因を減らし、不適応を軽減していくように働きかけていきます。
一般的に 母親たちは、子どもより自分を優先することに罪悪感を抱くことが多いものです。それゆえに母親の自己尊重感を向上させる支援を考える場合、母親に働きかけるだけではなく、子どもの問題解決をも同時に提供していかないと有効な支援にはなりません。 このような考え方から、医療モデルからヒント
を得つつ、母子を一つの単位としてとらえ、母子間の力動を活用しながら双方向に同時に支援する「母子ユニット」での支援モデルを考案するに至りました。

「母子ユニット」での支援は「父親のサポート」を代替するともいえますが、そうした代替機能を目的としているわけではありません。アメリカでベトナムの帰還兵の心的外傷ストレス障害研究から、人には「自己回復力」が内在していることが指摘されました。シーズの支援はこの自己回復力に働きかけ、母子それぞれが自己尊重感を強化し、自己機能を向上させ、自分の人生の主体になることを目的としています。

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